アルゴリズム元号予想⑨

(前回:アルゴリズム元号予想⑧へ)

大きな混乱なく決まって良かったですね。考案に従事した関係者の方々、お疲れ様でした。

答え合わせ。結果は?

新元号は「令和」!

そして、他の5候補は「英弘」「久化」「広至」「万和」「万保」であったとか。

私の予想はというと、

  • 興応
  • 建能
  • 考徳
  • 元化
  • 康化
  • 文功
  • 文養
  • 広寛
  • 養永

カスりもしませんでした、、、

やはり機械的な元号予想という方法論自体が無茶だったかもしれません。出典にヤマを張って予想した方がまだマシだったかも、、、

もっとも元号「令和」をドンピシャで予想した方はほとんどいなかったようですが。

6候補と過去の元号・勘申案比較

ところで、これら6候補に関して、過去の元号や勘申案(過去の学者らの元号候補)との比較における、音構成の特徴はあったのでしょうか。せっかくですから、当ブログで集積してきた過去の元号と勘申の音傾向のデータを利用して考察してみようと思います。

「令和」(rei-wa)を含む6候補の音構成(子音+母音+語尾子音t,k,n)の、

①「無作為な常用漢字の組み合わせの音」(4,200,450通り)
②「勘申案の音」(2,313通り)
③「採用された元号の音」(248通り)

それぞれにおける 分布密度を見ていきます。 ①に対して②や③の方が密度が高ければ、それらの候補が過去の勘申や実際の元号でも好まれた音ということになります。

令和(rei-wa)

① 0.01‰(24通り/4,200,450通り)
② 0.00‰(0/2,313)
③ 0.00‰(0/248)

②勘申、③元号ともに例がありません。そもそも「令」の字は過去の元号採用例がなく、勘申においても「令徳」1回を数えるのみです。”rei-wa”は全く新しい音構成なのです。

英弘(ei-koo)

① 0.15‰(630/4,200,450)
② 1.30‰(3/2,313)
③ 0.00‰(0/248)

勘申では「永光」「永康」などの案がありました。

久化(kyuu-ka)

① 0.17‰(704/4,200,450)
② 0.43‰(1/2,313)
③ 0.00‰(0/248)

「久化」は過去1回だけ勘申されています。

広至(koo-ji)

① 0.28‰(1,197/4,200,450)
② 2.16‰(5/2,313)
③ 8.06‰(2/248)

「康治」(勘申1回)と「弘治」(勘申4回)がいずれも元号に採用されています。為政者に好まれた音と言って良いでしょう。

万和 (man-na)

① 0.00‰(12/4,200,450)
② 6.05‰(14/2,313)
③ 0.00‰(0/248)

伝統的な呉音読みに従って、”ban-na”ではなく”man-na”と読むことにします。「万和」は過去に14回も勘申されましたが、結局採用に至りませんでした。「万」は元号・勘申におけるポピュラーな字の一つで、特に第一字への採用は勘申78回(33.72‰)、元号3回(12.10‰)を数えます。

万保 (man-poo)

① 0.02‰(92/4,200,450)
② 5.19‰(12/2,313)
③ 0.00‰(0/248)

「万保」と「万宝」がそれぞれ8回、4回と勘申されていますが、いずれも元号には採用されませんでした。「万」はとりわけ勘申に好まれ、元号への採用はそれに比べて控えめであると言えます。

6候補に関する考察

「令和」「久化」「広至」「万和」と短母音終わりの候補が4/6を占めたことは特筆すべきでしょう。

とは言え、これら短母音終わりの4候補では、第一字で長母音や複母音、語尾子音nを組み合わせてバランスをとっており、全体としては 過去の勘申と比較しても “常識的な”音構成です。

そして意味的には申し分ない「徳」(tok)や語尾子音nで終わる候補は一つもありませんでした。第一字に音の重心を置き、第二字目の短母音で軽やかに終わるシャープな音が選好されたと言えるでしょう。

6候補の①②③それぞれの密度の平均を採ると、

① 0.11‰(2,659/4,200,450/6)
② 2.52‰(35/2,313/6)
③ 1.34‰(2/248/6)

となります。候補全体としては、「万和」 や「万保」 を始めとして歴代の勘申者が好んできた音パターンを今回の有識者もやはり選好した、ということになるでしょうか。

全6候補の中で②の密度を③の密度が上回ったのは(勘申者に対して為政者が好みそうな音)「広至」のみ。ひょっとすると、「広至」が「令和」に対する最も有力な最終選考の対抗馬だったかも??

そして最終的に採用された「令和」

r始まりの元号は「霊亀」(rei-ki)のみで、”rei-wa”は元号はおろか勘申にも挙がったことがないものです。

しかしながら、今のところ日本国民の受けも良いようですし、報道によると1日の有識者懇談会でも全員がこれに賛成していたとのこと。

「令和」(rei-wa)は今回新しく発見された新鮮な響きでありながら、納得感を以て迎えられた優秀な音構成の元号であると言ってよいのではないでしょうか。

以上です。

ここまで読んで下さった方にとって「令和」が素晴らしい時代になりますように。

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