(前回:アルゴリズム元号予想⑦へ)
日本の商号・屋号で振るい落し
前回残った299例の候補を最後の振るいにかけていきます。まずは、
- 大陸で過去に使用された年号(中国、朝鮮、ベトナム)や追号、諡号を除く
- 俗用されているものとして、商号、屋号、商標、地名、人名に採用されているものを除く
で、スクリーニング。
実は「俗用されているもの」でかなりの候補が外れてしまいます。とりわけ「徳」「文」「永」「健」を含む候補は壊滅に近いです。ちなみに中国や台湾の地名・屋号・商号と被るものまで対象外にしてしまうとほとんど残らないので、日本のものだけでスクリーニングしました。
その結果残ったのが、こちらの128例。
最終候補はインプレッションで
ここまで来たら、あとは私の独断と偏見で最終候補を決めます。
元号に相応しそうな二字の組み合わせをピックアップし、 台湾の中央研究院の漢籍電子文献で調べて 「漢籍の出典」の条件を満たすものだけ残しました。
最終候補として選んだのは以下の9つです。 (括弧内は出典)
- 興応(『宋会要』)
- 建能(『詩経』)
- 考徳(『詩経』)
- 元化(李賀『相勧酒詩』)
- 康化(『隋書』)
- 文功(『尚書』)
- 文養(『旧唐書』)
- 広寛(『宋史』)
- 養永 (『宋会要』)
正直、出典元の漢籍について前後の文脈までしっかり読めているわけではないので、学者の眼鏡にかなうようなものが選べているか、自信はありません。
、、、やはり地味すぎるきらいがありますね。“キラキラ元号枠”としてもう一つ追加させてください。
- 「文桜」
漢籍に出典はなく、国書にあたったわけでもありません。しかし、日本の一つのシンボルとして「桜」は元号に採用されそうな気がするのですよね。そして「桜」を含む候補群の中で俗用されておらず最後まで残ったのは、この候補だけでしたので。
私の元号候補は以上の10個とさせてください。
終わりに
ここまで長らくお付き合い下さった皆様、ありがとうございました。
機械的な操作で元号候補を予測する「アルゴリズム元号予想」と称しながら、音による選別と最終候補の選別は結局一定の主観を交えざるを得ませんでした。
当てる自信も正直数パーセントといったところです。
しかしながら、小学校で習う漢字の全組み合わせからスタートし、あくまで 一定のルールに従って振るい落としを行ったことで、来月1日に実際の新元号や候補群が発表された際、これらの方法論と候補が「どの程度的を得ていたのか」は検証することができると考えています。
発表までの残り一週間を楽しみに待とうと思います。
新時代に相応しい素敵な元号になることを祈りながら。
(次回:アルゴリズム元号予想⑨へ)
参考文献
- 所功・久禮旦雄・吉野健一 『元号 年号から読み解く日本史』 文春新書 2018年
- 黒川伊保子 『日本語はなぜ美しいのか』 集英社新書 2007年
- 山田孝雄 『年号読方考証稿』 宝文館 1950年
- 小川環樹・西田太一郎・赤塚忠編 『角川新字源』 角川書店 (1993年発行の第339版を用いました)