2021年度 将棋大賞を予想する(第16回 名局賞編)

2021年度の将棋大賞名局賞・升田幸三賞の投票受付が開始された。
https://www.shogi.or.jp/form/event/2816.html
観る将の集大成として、今年も予想してみたい。
(手前味噌で恐縮だが、昨年度は見事予想を的中させることができた。詳細は下記参照)
将棋大賞を予想する(名局賞編) | 帰宅部戦線異状なし (kitakubu-front.com)
今回は名局賞について。
今年度においては、下記2局の一騎打ちだと考えている。

本命:竜王戦第4局 豊島竜王●-藤井三冠○
本命はこちら。藤井聡太現五冠の竜王位獲得局である。
本命に推す理由は、中終盤まで優劣不明の激戦であったことに加え、最終盤で先手の2二歩を逆用した非常に珍しい詰み筋が生じたことである。
もしこの歩を打っていなければ豊島玉は入玉に成功していたはずだが、実際にはこの歩が先手玉の逃走を妨げる邪魔駒になってしまい詰む変化が生じた。
本譜では豊島竜王が上記変化を避けたが、結局別の筋で詰んでしまった。
数十手前に指した辺境の地の歩が勝敗に直結したという意味では、かの「一歩竜王」を彷彿とさせる(奇しくも彼も「藤井竜王」であった)。
この点を考慮すると、名局賞に最もふさわしいと考える。

対抗:王将戦第1局 藤井竜王○-渡辺王将●
対抗はこちら。形勢は中終盤まで互角で、終盤では渡辺王将有利の局面もあったようだ。しかし最終盤で、藤井竜王が自陣に打った桂馬を活かした見事な寄せで逆転。最後まで優劣不明だった激戦を対抗に推す。

というわけで改めて現時点での予想は「竜王戦第4局 豊島竜王-藤井三冠」とさせていただく。今年度は藤井五冠が圧倒的な実力を見せつけたこともあり、タイトル戦での熱戦が例年よりもやや少なかった印象である。
次回は升田幸三賞を予想する予定。


…上記の文面を3月3日に書き上げてこのまま投稿するつもりだったのだが、同日のA級順位戦最終局にて激闘があったため、こちらを対抗の筆頭候補に格上げしたい。

対抗:A級順位戦9回戦(千日手指し直し局)菅井八段●-豊島九段○
同日行われた千日手局が111手で22時40分に終局したため、指し直し局の開始時刻は23時を回っていた。指し直し局も凄まじい激闘で終局は166手、終局時刻はなんと3時18分。「将棋界の一番長い日」にふさわしい死闘である。
内容も二転三転する熱戦で、棋譜コメントでは131手目に「先手勝勢になっている」とあるのだが、そこからもつれて結局後手の豊島九段が逆転勝ちを収めた。
A級の最終局は注目度も高く、また年度終わりで時期的にタイムリーであることも受賞に有利に働きそうだ。
さすがに本命の竜王戦第4局を上回るとは考えづらいが、名局賞特別賞を受賞する可能性は高いように思われる。

というわけで改めて私の予想は
 名局賞:竜王戦第4局 豊島竜王-藤井三冠
 名局賞特別賞:A級9回戦(千日手指し直し局) 菅井八段-豊島九段
とする。

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